漢方治療エビデンスレポート
日本東洋医学会EBM委員会エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース
11.
消化管、肝胆膵の疾患
文献
岡林孝弘, 田中紀章, 折田薫三. 閉塞性黄疸減黄処置後減黄率に及ぼす漢方製剤茵チン
蒿 湯 の 効 果. 日 本 臨 床 外 科 学 会 雑 誌 1998; 59: 2495-500. 医 中誌 Web ID:
1999080276, J-STAGE 1. 目的
閉塞性黄疸減黄術後の患者に対する、茵チン蒿湯の減黄促進作用を評価する。 2. 研究デザイン
ランダム化比較試験 (封筒法) (RCT-envelope) 3. セッティング
岡山大学医学部第1外科および関連病院14施設
4. 参加者
閉塞性黄疸患者で、経皮経胆管ドレナージ (PTCD) などの減黄処置を行った24名 ( (1)
15歳未満、80歳以上 (2) 経口摂取不可能 (3) 重篤な肝硬変や合併症を有する (4) そ
の他主治医が不適当と判断したものは除外)
5. 介入
Arm 1: ドレナージ+ツムラ茵チン蒿湯エキス顆粒7.5g分3、11名 (うち解析対象10名。
脱落理由記載なし)
Arm 2: ドレナージ単独群、13名 6. 主なアウトカム評価項目
総ビリルビン値、直接ビリルビン値、1日胆汁量を計測、清水らの計算式に基づく減黄
率にて比較検討。食欲不振、全身倦怠感の推移については4段階評価で比較検討。
7. 主な結果
茵チン蒿湯併用群において減黄率が有意に高かった。AST, ALT, ALP, γ-GTPは両群共に
改善を示し茵チン蒿湯併用群がより良好ではあったが、両群間に有意差を認めなかっ
た。食欲不振については、ドレナージ開始初期に茵チン蒿湯併用群が有意に改善した
が、2週間目以降はドレナージ単独群においても自覚症状が改善してくるため有意差を
認めなかった。 8. 結論
茵チン蒿湯には減黄促進効果を認め、自覚症状の改善効果も認められるため、減黄処
置後閉塞性黄疸に対して有効である。 9. 漢方的考察
生薬学的側面からの考察として、茵チン蒿に含まれる6, 7-demethyl-esculetin, capillarisin
及び山梔子に含まれるgeniposideの利胆作用について言及している。
10. 論文中の安全性評価
有害事象は認められなかった。 11. Abstractorのコメント
本論文では茵チン蒿湯の減黄作用について論じられている。ビリルビン値の比較にお
いては茵チン蒿湯による減黄作用の強化はわずかであるが、それによりGrade3 (減黄比
較的不良群) が無くなるという事実は重要であると考えられる。作用機序も含め、さら
なる報告を待ちたい。 12. Abstractor and date
中田英之 2009.1.1, 2010.1.6, 2010.6.1, 2013.12.31